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帰化申請の要件(一般的な外国人の方)
帰化申請の要件(一般的な外国人の方)の動画の書き起こし
こんにちは、帰化専門の行政書士の大槻です。
帰化を考えられている方、帰化できるのであれば帰化したいという方。
たくさんいらっしゃるかと思います。
帰化できるかどうか、帰化の申請をしたとして許可になるかどうかは、満たさなければならない帰化の条件、つまり帰化の要件を満たしているかどうかで決まります。
ですので、帰化の要件を正しく理解する必要があります。
この動画では、一般的な外国人の方の帰化の要件について詳しく説明していきたいと思います。
ここで言う一般的な外国人についてですが、日本人とは結婚していない外国人の方、在日韓国人などの特別永住者ではない外国人の方、すべてになります。
例えば、留学で日本に来て、就労ビザを取って働いているような外国人の方とか。
独身の外国人の方も、外国人同士で結婚されている方ももちろん含まれます。
結婚相手が日本人ではない人、特別永住者ではない人。皆ですね。
子どもはいてもいなくても関係ありません。
結婚している人や、子どもがいる人は、夫婦で一緒に帰化しなければならないのかとか、子どもと一緒に帰化しなければならないのかとか、気になるかと思いますが、これは自由です。
1人だけ帰化してもいいし、夫婦一緒でもいいし、お父さんと子どもだけ、とかでもOKです。
また、夫婦で帰化したいという場合に、1人が帰化の要件を満たしていて、1人が満たしていないということもあるかと思います。
例えば、夫が帰化の要件を全て満たしている、妻は要件を満たしていないという場合ですね。
この場合、夫の帰化が認められれば、夫は日本人になります。
すると、妻は日本人の配偶者ということになります。
日本人の配偶者、つまり日本人と結婚している外国人の場合は、簡易帰化といって、帰化の要件が緩和され、通常の帰化よりも易しい要件での帰化が可能になりますので、仮に妻が通常の帰化の要件を満たしていなくても一緒に帰化の申請ができる場合が多いです。
ただし、夫の帰化が許可になることが条件です。
では、少し長くなりましたが、帰化の要件を1つ1つ見ていきたいと思います。
先にお伝えしておくと、帰化申請には全部で7つの要件があります。
7つすべての要件を満たしていなければなりません。
まず1つ目の要件。
1.住所要件です。
住所要件には2つポイントがあります。
1つは、①「引き続き5年以上日本に住んでいる」ことです。
帰化をするには日本に5年以上住んでいる必要があります。
そして、「引き続き」というのは、「継続して」ということです。
5年間ずっと日本にいましたという場合には何の問題もないんですが、例えば、3年間日本に住んだあと、仕事の都合や家庭の事情で1年間海外に行っていた、そのあと日本に戻ってきて2年間日本に住んでいますという場合。
この場合日本にいるのが3年と2年、通算で5年になりますが、住所要件では継続して5年間日本にいることが求められているので、途中1年間海外に行っているこのケースでは、要件を満たさないということになります。
ちなみに、このケースでは途中1年間海外に行ってしまったことで「引き続き」が切れてしまっているため、「引き続き5年以上」の要件を満たすにはあと3年日本に住む必要があります。
2年+3年で5年になりますので。
1年間海外に行ったことで「引き続き」の部分が切れてしまったと言いましたが、じゃあ全く海外に行けないのかというと、もちろんそんなことはありません。
年に1回母国に数週間帰ったり、海外旅行に1週間行ったりは当然できます。
ではどれだけ出国していると「引き続き」が切れてしまうのかということですが、1回の渡航で3か月以上、連続して90日以上出国していると、継続して日本に住んでいるとは言えなくなってしまい、また1からカウントすることになります。
また、1回の出国が3か月より短くても、1年間に150日を超えて出国している場合には「引き続き」には該当しないと判断される可能性が高くなります。
例えば1回あたりの出国日数は60日、2か月だけれども、それが1年に3回あれば合計で180日になってしまうので、「引き続き」とはみなされなくなるということです。
この出国については、会社都合の出張だったり、出産等の家庭の事情だったりいろいろなことがあるかと思いますが、どれもダメです。
出国をしていたという事実のみを見られてしまうので、その間ずっと家賃を払っていても、仕事でも、就労ビザが切れていなくてもダメということになります。
次に、住所要件の2つ目のポイント、②「3年以上の就労期間」になります。
1つ目のポイントとして、継続して5年以上日本に住んでいる必要があると言いましたが、その日本に住んでいる期間のうちに、3年以上は働いている必要があります。
こちらは明文化されているわけではなくて、絶対に3年以上必要なのかというとそんなことはないんですが、留学生として入国してきた外国人の方が帰化する場合などに、この後説明する生計要件との兼ね合いで、3年程度の就労が求められることが多いです。
この就労はアルバイトではダメで、就労ビザを取って社員として働いている必要があります。
雇用形態は正社員でなくても、契約社員でも派遣社員でも構いません。
例えば、留学生として日本に来て2年、卒業して就職して3年が経ちました。
これは合計5年日本に住んでいて、3年働いているのでOKです。要件を満たします。
留学生として日本に来て3年、卒業して就職して2年が経ったケース。
こちらの場合は合計5年日本に住んでいるという点では変わりませんが、就労している期間が3年に満たないため、こちらはダメということになります。
住所要件を満たすためには、あと1年働きつづける必要があります。
あと1年働くと、3年を満たすことになるので。
転職はしていても大丈夫です。
転職回数は多くても関係ありません。
最後に例外です。
引き続き5年以上日本に住んでいて、かつその間に3年以上就労期間がなければならないのが原則なんですが、日本に10年以上住んでいる人は、就労の期間が1年あれば要件を満たすことができます。
留学生などで日本に住んで9年が経ち、その後1年働いたという場合には、日本に10年住み、かつ1年働いたことになるのでOKということになります。
ただ、専業主婦(夫)の方や、学生の方で、就労期間がないから帰化できないのかというとそんなことはないです。
専業主婦の方などについては、別の動画で補足して説明できたらと思います。
次に、2つ目の要件。
2.能力要件です。
こちらは20歳以上であることです。
基本的には20歳以上であれば要件を満たします。
ただ、20歳未満では絶対に帰化できないのかというとそんなことはなくて、未成年の場合であっても、両親と一緒に帰化申請をする場合だったりとか、両親のうちどちらかが日本人であれば未成年でも申請できるといった例外があります。
こちらも他の動画で補足できたらと考えています。
続いて3つ目。
3.素行要件です。
これは素行が善良な人、真面目な人かどうかということです。
具体的には、税金、年金、犯罪歴が問題になります。
まず税金。
たくさん税金の種類があるんですが、主に所得税と住民税。
特に住民税ですね。
住民税も所得税と同じように、会社員であればお給料から天引き、給与から勝手に引かれていることが多いですが、住民税が天引きでない方は、ご自分で役所に行って申告して、金融機関等で支払う必要があります。
天引きかどうか、勝手に引かれているかどうかは給与明細を見れば確認できるかと思いますので、よくわからない人は給与明細を確認してみましょう。
もし住民税を払っていないという人は、今からでも払えば大丈夫です。未納分は払ってください。
また、結婚している人は、配偶者の分も見られます。自分は税金を納めているけれども、奥さんや旦那さんが税金を未納という場合には帰化できませんので注意してください。
会社経営者の方や個人事業主の方は、法人や個人事業の税金ももちろん納めている必要があります。
法人税や個人事業税ですね。
次に年金です。
年金も払っていないとほとんどの場合帰化できませんので、帰化したい方は年金を納める必要があると言ってしまっていいかと思います。
年金には厚生年金と国民年金とがあるんですが。
・厚生年金
会社員の方であれば、厚生年金に入っていてお給料から毎月年金が引かれているかと思いますので、基本的には問題ないです。
問題になってくるのは、国民年金に加入しなければならない人ですね。
個人事業主の方とか、法人化していない事業所で働いている方であったり、週当たりの勤務時間が短い人とか、あとは厚生年金に入っていない会社で働いている方です。
会社の場合は法人なので、普通は厚生年金に入らなければいけないはずなんですけど。
・国民年金
こういった方々の場合は、国民年金に加入して、きちんと国民年金を納付する必要があります。
納付していれば何の問題もないんですが、外国人の方だと、国民年金を全然払っていないという方も多いです。
制度がわかりにくいというのも原因の一つかとは思いますが、厚生年金に入っていない方、給料から年金が天引きされていないという方の場合は、この国民年金を払っていないと帰化できませんので、最低1年分払ってください。
だいたい20万円くらいです。
会社経営者や、個人事業主で常勤の従業員を5人以上雇用している人の場合は、社会保険に加入する義務があるので、会社として、事業所として厚生年金に加入している必要があります。
最後に犯罪歴です。
犯罪については裁判になっていたりしなければ基本的には大丈夫ですが、よく問題になるのは交通違反です。
交通違反については、過去5年間の違反歴が見られます。
5年前から今までどれくらい交通違反があるのか。
あまりにも多いと影響があります。
5年で5回以内、1年に1回くらいであれば問題ないかとは思いますが、
それより多いといろいろ言われてしまう可能性はあります。
飲酒運転等の重大な交通違反の場合は、相当の年月が経っていないと難しいと思います。
4つ目。
4.生計要件です。
日本でずっと生活していくのに、十分な安定した収入がありますかということです。
貯金はそこまで関係ないので、少なくても大丈夫です。
もちろん無いよりはあった方がいいかとは思いますが、貯金の額よりも、毎月安定した収入があることの方が重要です。
具体的に安定した収入っていくらなのかという話なんですけれども、目安としては20万円くらいです。
これは絶対に20万円必要というわけではなく、だいたい20万円、18万円とか19万円あれば、ほとんど大丈夫ということです。
家族構成とかによって必要な金額は異なってくるので、あくまで目安です。
毎月の生活にいくら必要なのかというのは個人個人で異なりますし、収入と支出のバランスが重要です。
雇用形態は正社員でも契約社員でも派遣社員でも大丈夫です。
現在無職とかだと安定した収入があるとは言えないので、就職してから帰化の申請をするようにしましょう。
会社経営者の方は、役員報酬を20万円程度にすれば問題ないかと思います。
5つ目。
5.喪失要件。喪失事項とも言われます。
日本に帰化したら、元の国籍、つまりこれまでの母国の国籍を喪失、離脱しなければならないということです。
日本は二重国籍を認めていないため、日本に帰化する場合、元の国籍を喪失する必要があります。
制限なしに元の国籍を離脱できる場合は問題ありませんが、兵役義務がある国もあります。
兵役義務が終わらないと他の国に帰化できないという法律があったりとか。
兵役を終えないと国籍を離脱できないという国の場合は、いくつかの条件を満たせば国籍を離脱することができる場合もあるので、一度母国の要件を確認してみるといいかと思います。
6つ目。
6.思想要件。
日本の憲法とか日本政府を破壊しようという思想を持っている人は帰化できません。
テロリストとか暴力団関係者の場合は帰化できないということです。
最後。
7.日本語能力。
これは明文化されてはいませんが、日本語がある程度できないと帰化できません。
これから日本で日本人として生きていくので、生活に困らない程度には日本語が使えないといけないということです。
具体的には小学校3年生くらいの日本語能力が必要となります。
以上7つが帰化申請の要件になります。
いかがでしたでしょうか。
現時点で全部満たしているという人もいれば、そうでないという人もいるかと思います。
今はまだ要件満たせていなかったという人は、どうしたら要件を満たせるのかの確認にもこの動画を使っていただけると嬉しいです。
帰化申請は凄く時間のかかる手続きで、許可が下りるまで1年近く、10か月~1年くらいはかかってしまうので、現時点で全部帰化の要件を満たしているという人は、早め早めに準備をするといいかと思います。
ありがとうございました。