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帰化申請の素行要件

帰化申請を行うには、帰化の様々な要件を満たした上で申請をする必要があります。
本ページでは、その帰化の要件の1つ、素行要件について説明します。

帰化申請の素行要件

素行要件は、国籍法第5条1項3号に規定される「素行が善良であること」に該当するかどうかが問われる要件になります。

 

国籍法上では「素行が善良であること」としか規定されていませんが、実務上では帰化申請者の税金や年金がきちんと納められているかどうか、過去に犯罪を犯していないかどうかなどがチェックされる要件になります。

 

以前はそれほど年金は問題となっていませんでしたが、現在では年金についても厳しく見られるようになっています。

 

特に、会社経営者の方などは、その経営する法人が厚生年金に加入している必要があります。
法人には社会保険に加入する義務があるからです。

 

会社経営の実態があるのに会社が厚生年金に加入していなければ、帰化はまず許可にはなりませんので、きちんと義務を果たしている必要があります。

 

前置きが長くなりましたが、それでは実際に素行要件のポイントを見ていきましょう。

 

素行要件でポイントとなってくるのは、
税金
年金
犯罪歴
の3つになります。

税金(住民税)について

税金はすべて払っていることが望ましいですし、すべて納付すべきですが、帰化で問題となってくる税金は主に住民税になります。

 

住民税とは、都道府県民税と市町村民税を合わせたもののことです。
※ここから住民税の説明になりますが、住民税に興味のない方は飛ばしてください。

 


 

会社員をしている方などはあまり気にされたことがないかもしれませんが、自分の住所地(正確には住民票を置いている場所)で住民税は課税されています。

 

たとえば、神奈川県の横浜市に住んでいる人であれば、神奈川県民税と横浜市民税という2つの税金があり、それらは住民税として横浜市が徴収しています。

 

神奈川県民税が神奈川県に住んでいる人に課される税金で、都道府県民税
横浜市民税が横浜市に住んでいる人に課される税金で、市町村民税になります。

 

この住民税には普通徴収と特別徴収という2つの徴収方法があり、普通徴収は自分で住民税を支払うという納付方法、特別徴収は事業主が給与所得者の給与から住民税を天引きして事業主がまとめて支払うという納付方法になります。

 

会社員の方は給与所得者に当たりますので、毎月給与から住民税が天引きされていることかと思います。
事業主(=会社)がまとめて住民税を納付する特別徴収だからです。

 

個人事業主などの法人化していない経営者の場合は、普通徴収に該当するため、自ら住民税を支払う必要がありますし、実際納付していることかと思います。

 


 

会社員(サラリーマン)の方であれば、毎月自分の給与から住民税が天引きされているかと思いますので、何も問題ありません。

 

自分の給与から住民税が天引きされているかどうかわからないという場合には、給与明細を確認してみてください。

 

もし会社から住民税が天引きされていないという場合には、自分で申告して自分で住民税を納付する必要があります。

 

ときどき住民税を納付していないという方もいますが、きちんと納付すれば帰化できますので、未納分は完納するようにしましょう。

 

帰化申請では住民税の納税証明書を提出します。
未納があればその時点で素行不良と判断されてしまうので気を付けましょう。

 

また、生計を一にしている家族(同居の家族)も住民税を支払っている必要があります。
結婚相手の納税証明書も提出することになりますので、自分に未納がなくても、配偶者に未納があれば不許可になってしまいます。
気を付けてください。

 

さらに、「扶養」が問題となることも多々あります。
結婚相手や子供を扶養に入れている場合で、その結婚相手や子供がパート、アルバイトなどにより収入が扶養に入れる上限を超えてしまっている場合は、扶養から外すための「修正申告」が必要になります。

 

結婚相手を扶養に入れていれば自分の税金を安くすませることができますが、扶養の上限を超えてしまっている場合は、本来扶養に入れられないのに扶養に入れてしまっていることで、支払うべき税金よりも少なくなってしまっています。

 

この場合にはしっかり修正申告して、税金を納めれば大丈夫です。
きちんと修正して帰化しましょう。

年金(国民年金、厚生年金)について

住民税の次は、年金です。
以前は素行要件の審査ポイントではありませんでしたが、現在は年金も審査項目になっています。

 

こちらも住民税と同様、会社員(サラリーマン)の方であれば、勤務している会社が厚生年金に加入していて、給与から毎月年金が天引きになっているかと思います。

 

その場合には特に何も気にされなくて大丈夫です。
こちらも天引きされているかわからない場合は、給与明細を確認しましょう。

 

もし、給与から厚生年金が天引きされていないという場合(厚生年金に加入していない会社に勤めている場合や個人事業主の方などの場合)、厚生年金は払っていないということになるので、国民年金を支払っている必要があります。

 

たまに厚生年金も国民年金も納めていないという方がいますが、年金を納めていないと帰化することはできません。

 

これまで年金を納めてこなかった方は、少なくとも国民年金を1年分支払う必要があります。
直近1年分の国民年金を支払い、その領収書を提出することで、年金の要件を満たすことができます。

犯罪歴(交通違反含む)について

最後に犯罪歴です。
犯罪については、暴行や傷害、窃盗などの犯罪はもちろん、交通違反歴も問われます。

 

運転免許を持っていない人は気にする必要はありませんが、交通違反は帰化の申請の中でも引っかかることの多い項目です。

 

具体的には、過去5年間でどれだけ交通違反をしているかがかかわってきます。
以前は過去5年間で軽微な違反が5回以内であれば大丈夫でしたが、最近は過去2年間で4回違反がある場合にも不許可となるなど、厳しく見られるようになっています。

 

交通違反にもいろいろなものがあり、軽微な違反であればまだいいですが、スピード違反等の場合は心証が悪くなるでしょうし、飲酒運転等の場合には5年以上経ってから申請したほうがいいかと思います。

 

また、交通違反以外でも、暴行や傷害、窃盗といった犯罪の場合には、当然ですが交通違反よりも厳しく見られます。

 

最低5年以上は経ってから申請するようにしましょう。

 

 

以上、素行要件について説明してきましたが、素行要件は帰化の要件の中でも特に引っかかることの多い要件になります。

 

素行要件に問題の無い人は他の要件も問題の無いことが多いですし、長年日本に住んでいる人は特にこの要件を確認していただければと思います。

 

 

 

以下、Q&Aコーナーです。

 

Q.1:同居の親族が住民税を払っていませんが大丈夫ですか?
A.:同居の親族の方についても住民税の納税証明書、課税証明書を提出することになりますので、一緒に住んでいる家族の方もきちんと払っている必要があります。
※まだ働いていない子供は除く。

 
Q.2:同居の親族が年金を納めていませんが大丈夫ですか?
A:現状、帰化申請者本人の年金の記録のみを提出しますが、場合により一緒に暮らしている家族の方まで審査されます。
自分は税金や年金をきちんと納めているけれども、一緒に暮らしている家族は納めていないという場合、帰化を考えるのであれば、同居をやめるなどの手段を講じた方がいいかと思います。
 
 
Q.3:過去にオーバーステイをしたことがありますが関係ありますか?
A:もちろん関係あります。
その際に在留特別許可を得たのであれば、その時から相当の年月が経っていない限り帰化することはできません。

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